ウェンティの好感度ストーリーを、日本語の文法ルールに則って読みやすく再翻訳しています。YouTubeにて朗読会もしています。
物語をゆっくり朗読
Profile

彼は正体不明の吟遊詩人。
古い詩を歌う時もあれば、誰も聞いたことのない詩を口ずさむこともある。
リンゴと賑やかな雰囲気が大好きで、チーズとべたべたするものが大嫌い。
風元素を導くとき、元素が羽根の形になることが多いのは、彼がふわふわしたものを気に入っているからなんだとか。
EpisodeⅠ
モンドに来てまだ間もない吟遊詩人、ウェンティの収入は他の詩人と比べても少ない方だった。
仕事を終えた後、地面に置いた帽子の中にモラが十分に溜まったのを確認すると、彼は慌ただしくその場をあとにする。
行き先はもちろん、モンドの酒場である。
しかし、ウェンティはその幼い見た目のせいで未成年だと疑われてしまい、酒を飲ませてもらえなかった。
『以前モンドに来た時はそんなルールなかった』
彼はそう文句を垂れるも認めてもらえず、モンドにある全ての酒場が、ノンアルコールドリンクしか出してくれないと判明した。
このままではいけないと考えたウェンティは、あるパフォーマンスを思いついた。
それは「ライアーを弾きながらコップをくわえて酒を飲む」というものだ。
吟遊詩人としての仕事をするとき、彼はモラを酒に替えてほしいと観客にお願いする。
「僕の歌を気に入ってくれたのなら、酒場で良い酒を飲ませてほしい」と。
このパフォーマンスを始めてからのウェンティは、水を得た魚のようにモンドで素敵な暮らしができるようになった。
しかし、そんな彼にも悩みの種がある。
ネコが近くにいると、くしゃみが止まらなくなるのだ。
それがコップをくわえている時ともなれば、状況は最悪である。
だからウェンティはいつも、猫がいない場所で仕事をする。
だが、そんな彼の心情とは裏腹に、ネコの方はとても彼に懐いているようだ。
EpisodeⅡ
風立ちの地にある巨大なオークの木は、千年前にモンドを解放した英雄ヴァネッサが、天に昇った際に芽生えたものだそうだ。
ここ最近、木の下で休む人々は時折、風神バルバトスの物語を紡ぐ少年の歌を聞くようになった。
まだ神がいる他の国とは違い、モンドは風神が去ってから長い時が経つ。
残っているのは「七天神像」の姿だけである。
それでも神の伝説は歴史書や聖典に描かれ、吟遊詩人たちによって歌われている。
だが、ウェンティが歌う「バルバトス」だけは、なぜか変わった冒険ばかりしていた。
例えば、氷の神の杖をこっそりと盗み、代わりにヒルチャールの木の棒を置いたりするなど。
当然、風神を信奉する聖職者たちはその詩に不満を抱くわけだが、問い詰められたウェンティは悪びれもせず微笑みを浮かべている。
『どうしてそれが嘘だってわかるんだい?』
彼の言う通り、どんなに敬虔な信徒であっても風神バルバトスの過去をすべて知っている訳ではない。
笑いながらそう答えるこの少年だけが、その歌の真実を知っている。
『うん嘘だよ? 酔っぱらって適当に歌っただけさ』
EpisodeⅢ
今よりおよそ2600年前。
魔神戦争が終わることなく続き、世界はまだ七神の統治下に置かれていなかった。
当時の「モンド」と呼ばれた都市は暴風に包まれ、一羽の鳥も通さなかった。
狂風は鳴り止まず、城内の土地を砂のように粉々にした。
塔の頂上に君臨するは風の暴君【竜巻の魔神】デカラビアン。
狂風に吹かれながら倒れている民草を睥睨し、従順であると彼は満足していた。
当時のウェンティは北風の大地で咆哮する千風の一つだった。
後世にて「バルバトス」と称される彼は、その時は魔でもなければ神でもなく、風の中に流れる小さな元素精霊。
「小さな転機と希望をもたらす風」だった。
ウェンティは旧モンドで一人の少年と出会い、彼と友になった。
少年はライアーが得意で、この世界で最も美しい詩を書くことを目標にしていた。
『鳥が空を自由に飛ぶ姿を見てみたいな』
暴風の壁の中に生まれ、青空や鷹、緑の草原を見たことがない少年はそう願った。
だが、彼の願いは狂風がすべてを覆い隠してしまう。
『友よ、一緒に見に行かない?』
EpisodeⅣ
風の城に生まれ、空を飛ぶ鳥を見たことがない少年のために、ウェンティは鷹の羽根を集めた。
その後、旧モンドで「自由」を追い求めた闘争が幕を上げた。
デカラビアンは、自分は民に愛されていると思っていた。
自国の民に苦しみのない暮らしを与え、死の直前まで彼らを愛していたように──
魔神は倒れ、ウェンティは鷹の羽根と共に暴君の死を見届け、長きに渡る支配から「自由」を勝ち取った。
だが、この羽根をあの少年に渡せる日は訪れなかった。
少年は抗争の最中、同じ地を生きる同士のために戦い、命を落としてしまったのだ。
そして、この地に新たな神が誕生した。
【風神】バルバトスとなったウェンティが、最初にやりたいことは決まっていた。
『人の体がないと、少年が大好きだったライアーを弾けないからね』
神の力で少年の姿を借り、自分の形を形成した。
ライアーを奏でながら神の風で氷雪を飛ばし、山を一刀両断にする。
『新たなモンドを自由の都にしよう。王のいない国にしよう』
そしていつの日か、この国はロマン溢れる素敵な地になっているはず。
『彼もきっと、そんな場所で暮らしたいよね』
こうして「新モンド」の幕が上がった。
EpisodeⅤ
風神が今のモンドを造ったとは言え、全てが彼のおかげという訳ではない。
『君のために、今ここで万物を讃える歌を奏でよう』
──
春の花がこんなにも美しく咲いている。
ヤマガラ、アヒル、ウサギ、そしてイノシシ。
モンドが蘇り、万物が育む。
夏はライオンが野原を歩み──
『歌詞が思い付かないな。もっと汗を流してお酒を飲んだ方がよくない? こんなに暑いのはライオンの髭が太陽に見えるからかな?』
──山の狭い道や峡谷は、酔っ払いが歩いているように見える。
どうせ東風は歩かずに飛んでいくから問題ないさ。
果樹と同じくらいの高さで飛び、翼には収穫と果物の香りを付けている。
──北風は森で静かに眠っている。
彼の側には狼の群れが付いているはずだ。
しかし、彼らを見た者は誰もいない。
なぜかと言うと、狼は冬が苦手だからだ。
だが、夢の中ではきっと温かな想いがあるのだろう。
──四季が移り変わっても四風は吹き止まない。
『まぁ当然ながらこれは彼らのおかげじゃなくて、ほとんど僕のおかげさ。だって吟遊詩人がいないと、それらを歌う人がいなくなるでしょ?』
風上の密約
新モンドができてから1600年後、今から1000年前。
モンドの「自由」は、かつてない程のどん底にまで落ちていた。
風神バルバトスは自信が暴君にならないように、モンドの地を去っていた。
だが、その時の彼は思いもしなかった。
まさか自由を享受した人の中から「人間」の暴君が生まれているとは。
貴族による圧制がモンドを支配し、民の声に耳を傾けず奴隷制度を導入した。
風神は再び自由の都に舞い戻り、彼は奴隷の少女「ヴァネッサ」の願いに応えた。
神と少女は共に手を取り、貴族による支配を断ち切った。
──以上の出来事はモンドの人ならみんな知っている歴史である。
だが、実はこの歴史の裏には面白いエピソードがある。
闘争の最中、貴族の上層部はある計画を立てていた。
更なる巨万の富を得るため、隣国の岩神と【風上の密約】を結んでいたのだ。
その内容は「モンドの全てを隣国の岩神に売り込む」というものだった。
この密約には神々のみが記すことのできる神聖な印があり、そこには確かに「岩王帝君」と記されていた。
それを察知したヴァネッサは貴族の兵士たちに働きかけ、彼らを寝返らせることに成功したのだ。
奴隷を虐げていた貴族の兵士たちは、まさか自分たちが異国で奴隷になるとは想像もしていなかった。
そして誰もが、この戦いが貴族を破滅へと追い込むことを予想していなかった。
数年後、ある歴史学者の研究によって、あの密約は偽物であったことが判明した。
実は、ウェンティは岩神にイタズラを仕掛けるため、密かに彼のサインを練習していたのだ。
あの「契約」を尊ぶ神を欺くことは一度もできなかったが、使い道のなかったこの技を数百年越しに披露できたのだ。
『こんなにめでたい事はないよね?』
神の目
【俗世の七執政】は神の目を必要としない。
なぜなら、彼らは既に力を持っているからだ。
だが、バルバトスは人間の世界が大好きで、「ウェンティ」の姿でモンドを自由気ままに歩くのが好きなのである。
彼は神に選ばれた者に
この模造品に特別な力はなく、元素を導く能力もない。
天空のライアーが側にないため、彼はガラスの珠を「木製のライアー」に変化させる幻術を付与したのだった。
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