森の風拾遺集・龍の書を、日本語の文法ルールに則って丁寧に再翻訳しています。YouTubeにて朗読会もしています。
物語をゆっくり朗読
森の風拾遺集・龍の書
北風騎士の「狼」
獅牙(
そしてトワリン──
「風龍」は遥か古来より、四風守護と見なされていた。
かつて獅牙騎士がモンドを解放し、西風騎士団が設立された。
そして北風騎士が入団した後、四風守護の信仰がモンドで広まった。
それ以来、トワリンは守護の一柱となっている。
現在より100年以上も昔。
大陸全土は未憎悪の危機に瀕していた。
数多の蛮族が存在し、魔獣が大地を蹂躙した暗黒時代。
至る所が闇に飲まれ、人間はモンドの城壁内部まで追い詰められた。
人々は苦境に立たされていた。
獅牙騎士に相応しい者が現れず、西風騎士団も多くの兵を失った。
そんな時、腐敗魔獣である毒龍・ドゥリンがモンドに襲い掛かる。
人々は風神に祈りを捧げ、トワリンの召喚に成功する。
トワリンはモンドの守護者として、ドゥリンとの死闘に挑んだ。
戦いは相打ちとなり、両者もろとも空から落下した。
一説では、トワリンがドゥリンの首を噛みちぎったとされている。
ドゥリンの亡骸は寒天の雪山に落ち、トワリンは風神に召喚され再び長い眠りについた。
人々は信じていた。
再び世界が闇に飲まれた時、トワリンが目覚めモンドを救ってくれると。
しかし、安寧の時代が続き、人々の記憶から四風守護の信仰心が徐々に失われていった。
今ではそれぞれの神殿も荒れたままとなっている。
[とある人物の注釈]
騎士団と幾度となく戦った見知らぬ害獣「風魔龍」が、かつての四風守護トワリンだと気付いた時には、憎しみに駆り立てられた感情が和解できない段階まで進んでいた。
100年に渡る長い眠りから目覚めたトワリンは、間違いなくこの町の裏切りを感じているだろう・・・。