ガイアの好感度ストーリーを、日本語の文法ルールに則って読みやすく再翻訳しています。YouTubeにて朗読会もしています。
物語をゆっくり朗読
Profile

ガイア・アルベリヒは酒造名家「ラグヴィンド」家の養子である。
彼がディルックを「義兄」と呼ばなくなってから、随分と長い時間が経つ。
現在のガイアは西風
騎士団の騎兵隊長。
代理団長のジンから信頼を置かれ、行動的で頼れる人物である。
このモンドで何か問題が起きた時、その後始末をするのはいつもガイアなのだ。
EpisodeⅠ
面白いことに、この騎兵隊長と最もよく遭遇できる場所は、騎士団本部ではなく夜の酒場である。
彼はいつもカウンター席に腰掛け、モンドで有名な「
ガイアは年寄りと酒飲みの間で特に人気があり、「安心して孫娘を託せる男」という肩書きまである。
会話を楽しみながらゆっくりと酒を嗜む。
西風騎士団の騎兵隊長に、これほどの親しみやすさを結びつけるのは難しいだろう。
ガイアの酒の相手にはほろ酔いの狩人もいれば、酒好きの盗賊もいる。
警戒心がどれだけ強い彼らであっても、ガイアの前ではつい本音を漏らしてしまう。
その後が悪夢となるか、それとも単なる笑い話で済むか。
それは彼らがうっかり話してしまった内容で決まる。
『誰もが秘密を持っているが、誰もがそれを正しく扱えるわけじゃない』
ガイアは小憎たらしい微笑みを浮かべながらそう言うのだった。
EpisodeⅡ
「正義に絶対的な決まりはなく、力と策のバランスによって生じる結果だ。だから、その過程で自分を責める必要はない」
ガイアはかつて、大団長ファルカの前でそう口にしたことがある。
結果が期待通りであれば、その「過程」の形に拘らない。
この考えが、ガイアの枠にはまらないやり方と、自由気ままな態度を作り上げた。
まるで、刺激の強い「午後の死」のように。
だが、この自分勝手なやり方は多くの批判を招くものだった。
かつて、盗賊団の頭目を真正面から打つため、ガイアは遺跡の守衛を意図的に起動させたことがあった。
その結果、盗賊の退路を断つことには成功したが、それと同時に仲間と、自分さえも危険に晒すこととなった。
彼のことを信頼しているジンであっても、このやり方に対して首を縦に振ることはない。
しかし、それでもガイアは過程を気にしない。
むしろ、他人に責められるような状況を楽しんでいるようにすら見える。
仲間が戦う時に見せる一瞬の気の迷いも、決死の覚悟を決めた相手が恐怖を隠そうとする姿も、ガイアにとっては大好物である。
EpisodeⅢ
長い歴史を持つモンドの酒造業は、この地に富を運びそして同時に盗賊と魔物を引き寄せた。
影に潜むそれらの本質は複雑で、集まる理由も様々である。
モンドに侵入してくる盗賊と魔物に対抗するため、ガイアは剣だけでなく頭脳とユーモアも駆使して戦った。
とある若い騎士が数年かけて彼らの行動を調査した結果、その目的はガイア自身も驚くべきものだった。
──名酒「午後の死」の出荷時期が過ぎると城内での目撃情報が減り、次の出荷時期が訪れると再び増え始める。
若い騎士は騎兵隊長から助言を貰おうと、この報告書を緊張した面持ちでガイアに見せた。
『‥‥‥いい考えだ。参考にさせてもらうぜ』
目の前の不安そうにしている騎士を前に、ガイアは不敵な笑みを浮かべながらそう答えた。
EpisodeⅣ
ガイアは普段からとても饒舌な人物だが、自分の過去に関することとなるとその口を堅く閉ざしてしまう。
たとえそれが大団長の命令であったとしても、真実を話そうとはしない。
彼は当たり障りのない言葉で、自身の身の上をこう説明する。
『あれは今から十数年前。ある夏の日のこと。俺は父に連れられ、アカツキワイナリーの前を通りかかった』
『父が「ブドウジュースを買ってくる」と、そう言っていたのを今でも覚えている。だが、行ったきり父が戻ってくることはなかった』
『あの時クリプス様が助けてくれていなければ、俺はもう死んでいたかもしれないな』
現実味のある話のように聞こえるが、これは真実を隠すための作り話である。
あの日にあった本当の出来事を、ガイアは誰にも語ったことがない──
「これはお前に与えられたチャンスだ。我々にとってお前は最後の希望だ」
父がガイアの細い肩を力強く掴んでいる。
だが、その瞳はガイアではなく遥か遠い先を見据えていた。
地平線の果てに、この親子の故郷ルーンカイアがある。
ガイアは父の期待に籠った眼差しと、憎しみが混ざり合ったあの瞳を忘れることはないだろう。
EpisodeⅤ
数年前、モンドの中でも一際目を引く二人の少年がいたことを、今でも多くの人々が覚えている。
そのうちの一人は完全無欠な紳士ディルック。
在りし日の彼は情熱に満ち溢れた剣士であり、優しい笑顔と自信に満ちた姿が印象的な少年だった。
そしてもう一人が、異国の風貌を持つガイアである。
あの頃のガイアはディルックの友人であり、協力者だった。
ディルックの「頭脳」として動き、戦いの後始末をする。
彼らはまるで心が通じ合った双子のように、「表」と「裏」からモンドを守り続けた。
彼らの辞書に「失敗」の二文字はなかった。
──あの夜までは。
ディルックが護衛していた馬車が、森で突如魔物の襲撃を受けたのだ。
あの事件はガイアにとって初めての失敗だった。
彼は急いでその場に向かったが、到着した頃には何もかもが終わっていた。
ディルックの父親が、正体不明の力を操って魔物を撃退したものの、その反動で命を落としてしまった。
ガイアとディルックは目の前の光景に呆然とし、騎士が持つべき冷静さを失っていた。
『クリプス様のような人でも、こんな力に手を出すとはな‥‥‥』
とある考えがガイアの頭をよぎり、彼は静かに笑みを浮かべた。
『この世界は本当に‥‥‥面白い』
共通の「父親」を失った夜。
二人の少年は別々の道を歩み始めた。
ある名簿
騎士団の公文書に書かれている名前の名簿リストが、「アンゲロス探偵集」という本に挟まれている。
名簿リストにはモンドに潜む盗賊、傭兵に宝盗団の人名、並びに活動範囲などが記されている。
そのうちの十数名には印が付けられており、その隣に「彼らを退屈させないように」と書かれている。
このリストに対してガイアは「酔っぱらって適当に書いた」と説明している。
彼が意図的にこの名簿リストを見せている気がしないでもないが、その証拠はどこにもないのだ。
神の目
ガイア・アルベリヒが「神の目」を手に入れたあの夜、モンドの大地には大雨が降り注いでいた。
その日、クリプス・ラグヴィンドが「邪眼」の力を強引に引き出し、邪悪な力に体を蝕まれた。
ディルックは父を苦しみから解放するため、自らの手で父にとどめを刺したのだ。
養子であるガイアは、それを見ていることしかできなかった。
親子の惨劇に溶け込むことができなかった。
まるでクリプスの死を悼むかのように、モンドの空からは大雨が降っていた。
──ガイアには人に知られていない秘密がある。
彼はカーンルイアがモンドに送り込んだスパイだったのだ。
その使命を果たすため、ガイアの生みの親はこの異国の地に彼を捨てた。
あの時のガイアを引き取ったのはクリプスだった。
もし、カーンルイアとモンドが戦争になったらどちらに付く?
自分を見捨てた生みの親と、自分を助けてくれた養父、どちらを助ける?
ガイアは長い間、この問いに答えを出せずに苦しんでいた。
本音を表に出さない彼にとって、使命と忠誠、信頼と幸福を同時に手に入れることは出来ない。
だが、クリプスの死がこの均衡を崩した。
長らく続いた苦しみから解放された瞬間、ガイアは己の利己的な考えに嫌悪すら抱いた。
ディルックの義兄弟として、彼と共に悲しみを分かち合うべきだったのに、ただ後ろに隠れてかつての陰謀を考えていた。
──クリプス様を助けるべきだった。
だが、それは間に合わなかった。
罪悪感に囚われたガイアは、これまで秘密にしてきたことを全てディルックに明かした。
ディルックが激昂することは最初からわかっていた。
二人の兄弟は互いに剣を抜き、相手へと向けた。
これは今まで騙してきた報いだと、ガイアは心の中で理解していた。
戦いが始まると、ガイアは初めて身体中に迸る凄まじい元素の力を感じた。
本気で義兄と向き合ったのは今回が初めてのことだった。
これまではディルックの影響で、彼が全力を出して戦うようなことはなかった。
冷たくて脆い元素の力がディルックの炎とぶつかり、凄まじい爆発を引き起こす。
ガイアの「神の目」はこの時に誕生した。
あの日から二人の関係に変化が生じ、互いに距離を置くようになった。
そして、ガイアは自分の「神の目」に関する情報を一切口にしない。
例えそれが全力の一戦、家族に本音をぶつけた結果の先に生まれたものだったとしても──
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